「お。やっと戻ってきたな。そういや、もマフィアごっこに入ったぞ〜。」
…そう、そうなんだ…結局、間に合わなかったか…でも、山本、まだマフィアごっこだと思ってたの…?
オレにさらなる不安がのしかかった瞬間だった…。
「…ツナさん。」
さんが、オレを上目使いで(椅子に座ってるから、上目使いで当然か…)見て、遠慮ぎみにいった。
「あの…マフィアってなんだかよくわからないけど、よろしくお願いします。」
あぁ…そうマフィアってそうだよね…よくわかんない…って
「マフィア知らないのー!!?」
「…あ、はい…もしかして、一般常識でしたか…?」
「いや…知らなくていいんだけど…。」
マフィア知らない人にマフィアやらせちゃ駄目だろうと思っただけで…いや、だけじゃないんだけど。もう大問題だよ。数学知らない人に方程式解けって言ってるようなもんだろ…
「安心しろ、ツナ。オレがにマフィアのいろはを叩き込んでやっからな。」
相変わらずの読心術ですか、リボーン…
「まーな。」
型破りな奴。
「まーな。」
否定しろよ。
「別にいいだろ。」
そういって、ニッと笑った。…もういいや(いやよくないけど)
「…さん、色々大変だろうけど、よろしくね。」
「はい!!」
さんはニコッという効果音がつきそうなほどの勢いで笑った。これほどの笑顔を持ってたら、ビアンキ似じゃなくても、もてるだろうな…と、オレは思わず惚れそうになった(オレの馬鹿!!)。
「獄寺君も、よろしくお願いします。」
「…まぁ、右腕はオレだからな!!そこらへんはちゃんと理解しとけよな!!」
あぁ…もうホント、獄寺君舞い上がりすぎだよ…。
「…はい。」
ほら!!さんが引いてるだろっ!!
「はははー右腕はオレだって。」
ここで山本が張り合ってくる。(もうオレ、ナレーションも突っ込みもつかれたよ!?)
「んだと!?お前は…(以下略。」
1年ぶりなのに。まるで並中にいた頃のようだった。
あの頃と違うのは、精神的にも、肉体的にも、少し成長したこと。そして、さんがいること。
懐かしく、新鮮な、不思議な気持ちだ。
オレの心境は複雑だったけど、さんは楽しそうだから…ま、いいか。
そう、このままだったら。

「どいつもこいつもセンスがない奴ばかり…。その中にいるが不憫だよ。」

「!!」
「…誠…か?」
と山本が反応した声。それを辿ると、割と整ったツラで鋏をもった少年が壁にもたれていた。
「マコトって…誰?」
10代目の問いに答えたのは、だった。
「…新明高校の、山本君に次ぐ成績を持っていた…天海誠。そして、私の幼なじみ。」
心なしか、の顔が青ざめいるようだった。
…僕は山本なんかに負けた覚えはないよ?まぁ…エースは確かに山本だけど…。」
そうやって独りで一喜一憂してる姿をオレ達はただ見てるしかなかった。
「…いや、そんなことはどうだっていいさ。そこの髪が逆立った奴と、タコみたいな奴は、編入先の高校で会ったんでしょ?だったらここで一緒にいるのもわかるけど…なのに、何故此処に山本がいるんだよ!!」
「タ…タコだぁ?テメー、初めてあったクセに…ッ。」
それに、10代目を侮辱するのも許せねー。オレは我慢できなくなり、ボムに手を伸ばした。
「ご…獄寺君っ。」
「10代目!!こればかりは我慢なりません!!」
煙草でボムに着火し
「果てろッ」
放とうとした瞬間―
「…!!?」
導火線が…切れていた。
「タコの分際で、僕に歯向かおうとか思わないで。しかもダイナマイトとかじゃ、僕に傷ひとつ与えられないよ。」
「な、何が起こったんだ…?」
天海ってヤローはほとんど動いていない。…いや、手にした鋏が少しだけ移動していたが、鋏が届く距離にオレはいない。
「…まさかお前、フリーの殺し屋、天海夫妻の息子か?」
突然。リボーンさんがそう言った。天海夫妻…どこかで聞いたような。
「…赤ん坊が、どうして僕の親を知ってるの。」
どうも、リボーンさんの言ったことはただしいことらしい…!
「あ、あの…天海夫妻ッスか…?」
思い出した。
「?誰…その天海夫妻って…。」
10代目、山本、そして幼なじみだというまで、首をかしげる。
「誠のご両親って…そんなに有名な人だったっけ?」
「天海夫妻は、10年前に引退した凄腕のヒットマンだ。2人一組で活動し、夫の直人の武器は鋏、妻の海里の武器は槍だったという。殺し方は未だに不明。しかし…鋏の形は見たことがあるんだ。」
「へぇ…赤ん坊のクセに、物知りなんだね…。そうさ。この鋏は僕の父の鋏を正確に複製したもの。まだ母さんの槍は精密すぎてうまく扱えないから、持ってないけどね。」
「その鋏で切ると恐らく、陣風が生じて、空気を伝い物が切断できる仕組みなんだろ?」
リボーンさんが言う。それに天海はうなずく。
「まぁね。…あぁ、喋りすぎたよ。それより、どうして山本がここにいるの?」
…そういや、最初にそんなこと言ってたな。
「ん、オレか?オレの家で寿司奢るってさそったら、オーケーもらったからな。」
「ふぅん…そうなんだ。ならいいや。が会いたいって言ったわけじゃないんならね。…じゃ、僕は帰るよ。バイバイ、。」
そういって、天海は喫茶店からでていった。
「…随分身勝手な奴だな。」
「えと…まぁいいとこもあるんですけど…ちょっとしつこいとこがあるだけで。」
はなんか呆れた様子で苦笑する。
「お前もそんな幼なじみがいて大変だな…。」
「もうあまり関わることはないと思うので、たぶん平気です…。」
「誠…そういやがいなくなって打率が一割落ちてたよーな…。」
「い、一割!?」
なんだそれ…さっきから明らかにに対する執着心が強いと思ったら、打率が一割落ちるって…どこまで好きなんだよ(あれは絶対好きだよな。も…気付いてるだろうし)。

そういった一連の事件(?)もあったが、そんなに予定の狂いはなく、オレ達はオレんちに移動し、しばらくはそこで過ごした。
そして、別れの時は近付いていた。
「山本君、今日は本当にありがとう。」
「別に構わねぇって。またいつでも来てな。」
は、「うん。」と今日一番の笑顔で言った。この笑顔を見てたら、誠が惚れるのも分かるな―。
「ツナ、獄寺。久々に会えて、嬉しかったぜ。」
「オレも、山本に会えてよかったよ。」
「…ま、野球馬鹿は野球馬鹿のまんまだってことが分かっただけ収穫か。」
「ご、獄寺君…!!」
「ハハハ、獄寺も、全然変わってねーしな!!」
「なっ…!!」
獄寺は真っ赤になってしまった。…オレ、また変なこといったか?
「クスクス…。じゃあ、山本君、ツナさん、獄寺君、また。」
は手を振ると、ニコッと効果音が付きそうな笑顔を見せた。
「うん…山本も、また、ね。」
「あぁ、またな。」
「…暗い空気作ってんじゃねー野球バカ。10代目がお困りだろうが!!」
「…そうだな、獄寺。サンキュー。…じゃあ、獄寺、ツナ、…いつでも、竹寿司にきてな。」
「勿論だよ、山本君。」
「絶対に…行くよ。」
「まぁ…10代目が行くと言うなら…。」
こうして、皆で思い思いの挨拶をして、別れた。

…次に会えるのは、いつだろうな?また…近いうちに、会えるといいな…。