「じゃあ、今日は獄寺君お休みなんですね。」
「うん。明日は来るように説得しておいたから、大丈夫だと思うけど…。」
つくづく不思議に思う。さんはオレを見てニコニコしている。朝、会って、なんかおかしいなと思ったら、昨日はなかったはずのお洒落な眼鏡をかけていた。突然イメチェンでもしたのかとビックリしたけど、聞けば獄寺君が倒れる原因を知って、倒れないようにわざわざ眼鏡をかけたんだという。
さんさ、ショックとかないの?」
「え?なんでです?」
時間は昼休み。オレはいつも獄寺君とお昼を食べてるけど、昨日の事もあり、獄寺君は学校を休んだ。隣にはさんがいて、オレの背中はさんとの昼食を夢見ていたクラスメート達の視線で痛い。
「だって、自分の顔で人が倒れちゃうんだよ?自分のせいじゃないとしても、辛くなったりしない?」
「うーん…。そういうものですか?私、どこにいてもいろいろな人からジロジロ見られるので、そっちのほうが気味悪くて嫌なんです。」
「あ…そっか。」
さんは、今のオレの背中みたいな痛さを毎日全身で受けてるんだ…。それを考えれば、獄寺君が倒れるのもあんまり気にならないのかも。
「それに、眼鏡は好きですよ。きっかけさえあったらかけたいなーと思ってたので、丁度よかったです。」
「ふぅん…。そういえば、前ってどんな学校に行ってたの?」
「そうですね、野球がとても強い学校でした。毎年甲子園にでてたみたいで、スポーツ推薦で入学するひとが多かったんですよー。私、野球部のマネージャーを少しだけやってたんで、練習をいつも見てたんですけど、一年生なのにいきなり先発になる人がいて、その人はすごく印象に残ってるなぁ…。」
「へぇ…オレ、甲子園とかあんまり見ないけど、そんなに凄い人なら、見てみたいな…。」
「そうですか?その人、山本武君っていうんですよ!」
「ふーん、山本たけ…えーっ!!!!!!」
思わず、手に持っていたツナサンドを落としてしまった。
「?知ってる人ですか?」
「うん、あのさ、確認だけど、どこの学校?」
「新明高校だよ。」(※実際にはありません)
「…そっか。新明ね、山本だ…。」
「そういえば、山本君は並盛中から来たって…。」
「友達だったんだ。今は、なかなか会えないけど…。」
懐かしいな、山本。高校行っても一年から活躍してるんだ…。
「…私、山本君と会う約束してるんです。選手とマネージャーの仲で。」
日曜日に、山本君の家でご馳走してくれるらしいので。そう言って、さんは
「一緒に行きますか?」
「え…いいの?」
「はい!山本君も、旧友と会えるなんて知ったら、喜んでくれますよ!」
自分の事のように、すっごく喜んでくれた。山本も、可愛いマネージャーかいて幸せだなぁ…あ、でももうマネージャーじゃ、ないんだよね。
「…そうだ、獄寺君も誘っていい?」
「え?獄寺君ですか?獄寺君も並中出身なんですか?」
「うん。獄寺君、山本とあんまり仲良くないけど、並中にいたときはいつも一緒だったし、山本も喜ぶと思うんだ。」
「それでしたら、人数が多いほうが楽しいですし、私は全然大丈夫ですよ!」
いつの間にか、弁当の中身は空になっていた。その後、日曜の打ち合わせをしてると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あ、昼休み終わっちゃった。授業行かないと…。」
「ツナさんは次国語ですよね?私は英語なので…では、放課後!」
「…うん。じゃあねさん。」
にっこりと微笑むさん。みているこっちが微笑ましい。顔はビアンキでも、中身は全然似てないんだもんなぁ。
「日曜日は山本と会えるのか…楽しみだな。」
「おーいツナ!授業始まっちゃうぜ!!」
クラスメートの声でオレはわれに返った。
「あ、うん。今行く!!」