「おはよう、獄寺君。」
「おはようございます!10代目!!」
いつものように起きて、いつものように家からでると、いつものように獄寺君がいる。中学生のころから変わらない。
変わったことといえば、並中を卒業して、並盛高校―並高に入学したこと。それに伴って、山本が野球に強い高校に入学したことぐらい。
それから1年。オレ達は高校2年生になって、そろそろ一ヶ月が経つ。
「そういえば、獄寺君が並中に転入してきたのこの頃だよね。」
学校に向けて歩を進めながら、ふとオレは思った。
「そうですか?あの頃の事はあまり思い出したくないですが…。」
10代目にとんでもない口利いてしまいましたから。と空を眺めながら言う獄寺君。
「オレは別になんとも思ってないよ。むしろ、あれが自然だったんだろうし。」
「ですが、未来のボンゴレ10代目に…。」
「あー…もう、オレは10代目になる気なんてないんだから、そんなこといわないでよ。」
今度はオレが空を眺め、今日はいい天気だな。とか思っちゃったりする。
「最近は平和ですよね。中学生の頃は、たくさん事件がおこって―。」
「そうだね。もうこの平和な生活に慣れちゃったけど。」
平和な世の中に戻るにつれて、オレが死ぬ気になる回数も減っていった。獄寺君がダイナマイトを構える回数も減った。
相変わらず、リボーンのスパルタ生活は続いているけれど、最近はちょっとだけ楽しくなってたりする。
本当に、ちょっとだけだよ?
「ったくおめーらもたるんだもんだな。」
「リ、リボーン!!」
神出鬼没。この際、リボーンの代名詞はこれになってしまえばいいと思う。
「オレだって、出る時は出るぞ。」
「お化けみたいな言いかたしないでよ!つーか、何でこんなとこにいるんだよ!」
「散歩だぞ。並盛が平和かどうかのパトロールも兼ねてな。」
「リボーンさん、まるで雲雀みてーじゃないですか。」
「そうだよ、リボーン。…そういえば、雲雀さん今どうしてるんだろう…。」
「さーな。ツナの雲の守護者とはいえ、ツナが10代目になるまで仕事はないだろうしな。」
「だーかーら、オレは10代目になる気なんてないんだから!」
躍起になって叫ぶオレに、しれっとした態度でリボーンはいった。
「それより、お前たち、学校は平気なのか?」
「…!10代目!あと五分しかありませんよ!」
携帯を見て焦る獄寺君。
「え!?嘘!!急がなきゃ!」
そういって駆け出すオレ達。結局オレ達は予鈴ぎりぎりで登校するハメになった。
リボーンのせいだ…!!
「ハァ…ハァ…。なんとか間に合った…。」
「大丈夫ですか、10代目?」
息が思いっきりあがってるオレに対して、全然疲れた表情を見せない獄寺君。なに…この差は?
「うん、大丈夫…。」
ガラガラー。
ドアが開くと同時に、担任が教室に入ってきた。そして、学級委員が「きりーつ。」と声をかける。
「礼。」「「「おはようございまーす」」」「着席。」
「おはよう。さて、早速だが、今日は編入生を紹介しようと思う。」
若干はげかかってる担任が言うと、クラスが一気ににぎわった。
「編入生?女の子かな〜。」「なんか季節はずれじゃね?」「別にいいじゃんかよ、親の転勤とかだろ。」
様々な会話が飛び交う中、オレの真ん前にいる獄寺君に話しかけた。
「編入生だって、そういえば、そんな噂が流れてたような気もするけど。」
「そうでしたか?別にオレは興味ありませんが…、10代目は興味あるんですか?」
「うーん…ないわけではないかな。オレが知ってる転入生とかって、獄寺君しかいないし。」
「オレが並盛に来たのなんて、相当昔ですよ…まぁ、オレが来てから転入生とかいない気もしますが。」
「ほら、うるさーい!!」
ハゲが手をパンパン叩くと、クラスが静かになった。
「じゃあ、紹介する。入ってきてくれ。」
ハゲがそう合図すると、閉められていたドアが開き、転入生らしき人が入ってきた。
教室に入ってきたのは、黒くて長いゆったりとした髪をおろしていて、クラスの女子に比べれば、全然大人っぽい女の子だった。
教壇に立つと、誰に促されるわけでもなく、彼女は口を開いた。
「始めまして、です。」
と大人びた声で自己紹介をしてくれた。
ってあれ―。
「ご、獄寺君…。」
「なんすかー、オレ今から寝ようと思ってるんですが…。」
「あの…彼女…ビアンキみたいなんだよね…。」
「な!!」
そう叫ぶと獄寺君は立ち上がってしまい…。
「ふ、ふげーっ!!!!」
と彼女の顔を見るなり倒れてしまった。
「ご、獄寺君!!」
最近ビアンキはイタリアに帰ってしまったから、しばらくこの光景は見られないだろうと思っていたのに…。
「獄寺!?」
その後(言うまでも無いかもしれないけど)、獄寺君はハゲに助けられながら保健室に行ってしまった。
「…はぁ、それにしても…。」
よく似てるなぁ。髪の毛は黒いけど、そんなこと気にならないくらいよく似てる。
メイクはほとんどしていないけど(オレが見る限り)、獄寺君がビアンキと間違えて倒れてしまうのもわかる気がする。
「あの…。」
突然、ビア…違う、さんに声をかけられた。多分、獄寺君の前の席がオレだからだろう。
「…え?な、なに。」
さんは獄寺君の机を指差しながら、言った。
「あの人…どうして倒れちゃったんですか?」
「あ、それか…えぇと、どうしてだろうね?」
さすがに、あなたのせいです。とはいえないよね…。
「あの人…大丈夫でしょうか…。」
「うーん…。まぁ、あとで行ってみようか。」
「は、はい!!えと…。」
「あぁ、オレは沢田綱吉。ツナでいいよ。」
「あ…、はい、ツナさん。」
突然の出来事でクラスは騒然としている。オレとさんの会話を聞いたクラスメートなんて、いないことだろう。
2008/09/14 改訂。