6月9日。今日はおなじみ六道骸の誕生日。
ここ、黒曜ヘルシーセンターでは今、骸の変態ぶりに悩まされている黒曜生4人組が、一応祝ってやろうと作戦を練っている。
プレゼントを決める時間を作るために、どうせ意見をださないであろう千種が、骸と一緒に並盛商店街に行っている。
「これは、やっぱりのキスじゃね?骸さん一番喜ぶと思うびょん。」
あ、またガム飲んじゃった。と犬。
「はぁ?なに言ってんの。ファーストキスをあんなのに捧げられるかっつーの。」
何故か骸のお気に入り、。
「…今までキスしたことないんれすか?…プッ。」
「煩い!!あたしがしてやんないだけなんだよ!」
「…それなら、骸様、チョコ好きだから、チョコレートケーキとか…。」
ボソボソと髑髏が話すのを、はちゃんと聞き逃さなかった。
「あの変態、チョコ好きなんだ。へぇ…。じゃ、ケーキでいっか。クローム、ケーキの作り方知ってる?あたし、知らないんだけど。」
「うん。」
「よし、じゃあ始めよっか。」
「私…材料があるか見てくる。」
「オレはー?」
「…さっきあたしをバカにしたから、何にもしなくていい。」
「は!?」
「犬料理下手だし、つまみ食いしそう。」
「んなのだっておんなじらっ、ってぇー!!」
は、犬の顔面にキックをかまして、犬の台詞を最後まで言わせることをさせなかった。
「あんな変態でも、一応上司みたいなもんだしね。あんたの歯型がついたケーキなんて渡せないだろ。」
「…ケッ。」
犬はおとなしくなり、髑髏とはケーキ作りにとりかかった。しかし、犬の言った通り、は料理が超がつくほど下手。
ただでさえ、ケーキなんて作るのに時間がかかるお菓子。失敗なんてそう何回もできないのだが…。
「ねぇ、クローム。なんか小麦粉が少なすぎる気がするんだけど…。」
「…が計量し間違えたから…。」
「えっ!?また失敗…?」
このくらいならまだ可愛いもの。ただ、オーブンで焼いているところまできて、
「あ、温度上げすぎてた。」
「…。」
ここでそっと、追い出されたことは、言うまでもない。
「〜〜〜〜っ。」
苛々しながら戻ってきたに、犬は早速声をかける。
「だから言ったびょん。は料理がへ…っらぁぁぁああい!!」
「煩い。黙っとけ。」
「だからって顔面パンチはないらろ!!」
「…え?何か言った?」
そのの右手には、電動の泡立て器が(殺傷力は絶大)。
「ひえっ、な、なんれもないれす!」
「只今帰ってきましたよ!」
そして、骸&千種のご帰還。
「…ただいま。」
「あ、お帰り、千種、変態。」
「!変態って僕の事ですか!?」
「うん、そうだよ。変態。」
「また変態と!!僕のどこが変態なのですか!言ってみなさい!!」
「え?…存在。」
「「「……」」」
一体、どう解釈すれば話がかみ合うというのだろう。存在が変態。それに、あくまでも今日は骸の誕生日。ここまでいってしまうのは、少しきついはずなのだが…。
は、本当に骸を上司と思っているのだろうか。
「…犬、千種、僕は少し休んできます…。」
誕生日なのに、誕生日なのに…と呟きながら、骸は奥に消えていった。
「存在が変態って…!!、さすがに言いすぎじゃないれすか…?」
「うん。言い過ぎた。でも、あたしが素直に『奥で待ってて』なんて、言えると思う?」
伏し目がちなの言葉に、2人は?を頭に浮かべて。先に気がついたのは、千種だった。
「もしかして、プレゼント、まだ…。」
「チョコレートケーキ。あたしの所為で、まだ出来てないから。今度時間稼ぎするのは、あたし。」
苦しそうに、笑うを、2人はただ見ているだけ。
「…。もっと…素直になってもいいと思う。」
「え…?」
千種が、突然話し始める。
「…骸様が、好きなんだろう。だから…今日をちゃんと祝ってあげたい。そう思ってる。」
「…。」
その言葉に答えることは、なかった。
「…めんどいけど、仕方ない。」
千種は溜息を付くと、の腕を掴み骸の後を歩いていった。
「っあ…ちょっと待ってよ千種…。」
の言葉に返事を返すことなく、腕を引いたまま千種は歩き続けた。
「…オレ、また置いていかれたびょん。」
そして、骸がいると思われる部屋の前。
「…ほんとに、行かないといけない?」
「うん。」
「行かないといけない?」
「…うん。」
「…ほんとに?」
「…早く行って。」
このまま『うん』とだけ言ってると、いつまでも続くことを悟ったのか、千種はを部屋の中に押し込んだ。
「あっ、ちょっと!千種!!」
「…?」
「骸…。」
枕を抱き、うっすらと涙を浮かべた骸の瞳と、視線がぶつかった。
「クフフ…また僕が変態だと言いにきたのですか?どうせ、僕は変態ですよ。」
「骸、違う、あたしの所為で、骸を傷つけちゃった…。」
の必死の弁明は、しかし骸に届くことは無かった。
「なんですか?では、僕はに遊ばれていたと。僕は、人をおもちゃにするのは好きですが、おもちゃにされるのは好きではないのですよ。」
「待って、骸、あたしは、骸が。」
「…僕が?」
「〜〜〜〜っ。」
いつの間にか赤くなっているの顔を見て、骸はあっけらかんとする。だがしかし。
「…クフフ。やはりは可愛らしい。」
「は?」
疾風の如く、の目と鼻の先まで接近すると、骸の手はの腰に回されて、自然と骸がを抱く形になる。
「そそられるじゃないですか。そんな可愛い仕草をされてしまっては。」
「……。」
冷ややかな眼とは対照的に、の頬はさらに赤みをましていく。
「おやおや、また赤くなって…そんな顔を、僕以外の人間に見せてはいけませんよ。」
この変態…。普段ならすぐさまハイキックをかますところだが、骸の誕生日に免じて我慢することにした。
「…ま、今日は骸の言うこと聞いても…いいか。」
「おや、本当ですか!?」
眼を輝かせる骸に、呆れた…といった様子で溜息をつく。今更ながら、千種に感謝していたりもする。
「いいよ。何がいい?」
「キスしてください!!」
「……は?」
「言うこと聞いてくれるんでしょう?それでしたら、キスしてください!!」
それは、さっき犬に拒否したばかりじゃないか。しかし、それを骸は知らないし、今拒否したら、また肩を落とされる。
「…仕方ない。今日だけ。」
と、骸の首に手を回し、骸の額に口付けをした。
「これでいいのか?」
「うー…ちゃんとやってください〜…。」
「ヤだね。この後は髑髏が作ったチョコレートケーキだよ。食べにいこ。」
これ以上何かされる前に戻らなければ…そういった焦りを感じさせるの口調だが、骸はそれを気にせず、超ポジティブ思考で言った。
「ん…それでは、チョコレートケーキを食べた後のお楽しみと言うことですね!!」
「はぁ?」
「では、行きましょう!!」
「〜〜〜〜っ。やっぱり骸は変態だ…っ!!」
「?何かいいましたか?」
「…いや、何も。」
「そうですか!では行きましょう!」
「は、ははは…。」
その後、チョコレートケーキを食したあとの2人の行方は知れない…。
ツンデレから変態に贈る
…終わった。キャラ崩壊は苦手です。
とにかく、
誕生日おめでとう!