「…別に治療なんてしなくてもいいのに。」
「文句いうんじゃねぇ。黙ってろ。」
「フゥ…。何度も行ってるじゃん。私の怪我の治りは他人に比べて早いんだからさ。」
「だからって、ほっといたら、痕が残るだろ。」
「残ったっていいのに。」
「オレが嫌なんだよ!!」
「…なんでよ。」
「そ、それは…。」
「…ハハハ。かわいいな、獄寺。」
「バッ、バカ言ってんじゃねーよ、もう治療しねーぞ。」
「しなくてもいいよ。」
「…わかったから、おとなしくしてろ。」
「はいはーい。」
まったく、愛らしくて、私はつくづく獄寺には敵わないなと思う。私が毎日のように怪我をして帰ってくるから、獄寺はそれを治療するために私の家で待ってるんだ。
一生懸命に包帯と格闘してるけど、とても治療がうまいとは言えない。それでも、その好意がうれしくて、おとなしく治療を受けてあげている。
「ほら、終わったぞ。」
「あー、ありがと。もう夜だから、泊まってく?」
「はぁ?何誘ってんだよ。」
「んーそうだな、お酒でも飲もうか。」
勿論、獄寺をからかう為の冗談。でも
「未成年のクセに飲めるかよ!」
真に受けた。
「獄寺は未成年のクセに煙草吸ってるよ。」
「これは、ダイナマイトに火をつけるための手段だ!」
「そうなんだ。てっきりシャマルの真似かと思った。」
「んなわけねーだろ。」
じゃあ、もう帰るからな。といって、獄寺はドアノブに手を掛けた。
「待って。」
獄寺の右手を取ると、その手を引っ張って獄寺を抱き寄せた。
「あっ、何すんだ…」
「感謝の気持ち。」
抱きついたまま、素直になろうと思った。
「は?」
「今までありがと。獄寺には、感謝してる。私自身よりも、獄寺のほうが私の体を心配してくれてるんだもんね。」
「何を今更…。」
「ちょっと…好きになっちゃったかも。」
「…あ゛?」
「好きだよ、獄寺。」
「…。お前、オレがお前の事が嫌いで来ると思ったか?」
少し緊張したような声。獄寺のその声がかえって心地よかった。
「うーん、どうだろ?嫌いとは思わなかったけどね。」
「なんでそんなに気楽なんだよ。」
「え?だって獄寺が私の事好きだって言ってくれたから。」
「言ってねーよそんな事!」
「だって嫌いじゃないっていってたじゃん。」
「…あーもういい。す、好きって事で。」
「そっか、じゃあ恋人ってやつですねー。そーゆーことで寝ましょうか。布団今から出すねー。」
そういって私が布団を出そうと押入れに―
「は、待て!オレはもう帰るんだってんだろ!」
「え?帰っちゃうの?つまんないなぁ…。」
「当たり前だ!!オレは明日も学校があるんだよ!は休むのかも知れねーが、オレは10代目と学校へ…」
「獄寺が学校行くんだったら、私も行く。」
「なんでだよ。」
「だって恋び「あー分かった!好きにすればいいじゃねーかよ!」
「じゃあな!!」
そしてまた獄寺はドアノブに手を掛けて―
「あ、待って。隼人。」
「あ゛?隼人?」
「恋人同士なんだから、名前で呼んだっていいじゃん。だから、隼人も私の事、って呼んで?」
こればかりは少し恥ずかしかったような気もする。今まで名前で呼んだことなかったし。
「…でいいのか。」
「うん。」
「ハァ、もう帰っていいか?」
「うん。」
「じゃあな。」
「また明日ね、隼人。」
「…また明日な。。」
とてつもなくマイペースです。
獄寺は巻き込まれて巻き込まれて…。
書いてて可哀想になりました。